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グラヴェオから出発した。
すでにヴェチェル国内に入国こそしているものの、
何時もより足取りが遅い。本日は宿を早めに取り、この日記を書いている。

一つ、感じたことがある。コーネリアス様はこの任務を「シグナルの入力のみで構わない」と仰ったが、


本当の目的は別にあるのではないか？


私がこの結論に至るまでには2つの根拠がある。

1つは、各国で通信可能な技術を保持している中、直接の入力を必要とする
装置を使用している事だ。これは何故なのか？たしかに王にしか知らない事は
あるだろうが、あまりに原始的すぎる。私は王の仰る事を疑いたくは無いが、
この媒体の真の目的が何なのか疑問を持ったという点。

もう一つは、派遣団に所属する以前に我が国の王宮警備の者から聞かされた
奇妙な噂の話だ。それは各国の王、
つまり人工神には我々人類の人智を超えた「神の力」があるという噂だ。

既に王として君臨している人工神であるのだから、どんな能力を有していても
おかしくは無いと思ったが、その警備の者が目撃したというコーネリアス様の
「制裁」の話を思い出した。

これは以前その時期に起きた、軟禁されていた志願兵落ちのならず者が
我が国で殺人を犯した時に、牢獄の中で自害をしたというものであったが、
私もその事実は知っていた。
だが、その警備兵によると「独房へ向かう囚人を王が見送っていた」というのだ。
王がなんらかの力で強制的に囚人を「自らの足で」独房へ向かわせた、という内容であった。

これが事実だと仮定するならば、王には
「人の意思を、行動を操ることが出来る」という事になる。

私に起きている一連の事象も、この王の力によるもので
私の人格を、身体を無意識のうちに改変しているとしたら……？

何を書いているんだ、私は。
だが、もう冷静とは言い難い。
私のこの行動すらも、この力の及ぶ処だというのであるならば
辻褄が合ってしまうのが恐ろしくて仕方ないのだ。

明日、ヴェチェルの街へ向かう。
クラウディアス王に会わねばならないというのに、
今、私は本当に恐ろしい。自分が自分で無くなっていく様だ。


誰か助けてくれ。

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